がんばり表の作り方。貼る前に、いつ終わるかを決める
/ ビーズニーズ株式会社
がんばり表のテンプレートを印刷して、貼る場所まで決めたところで手が止まる。あとは何を書き込むかだけなのに、おんどく、はみがき、かたづけと、書こうと思えばいくらでも出てくるぶん、どれを選べばいいのかが決まらない。
配布ページと家庭向けの手引きを12件読んでみると、項目の数やシールの枚数まで書いてあるものは6件ありました。いっぽう、その表をいつ畳むかまで書いてあったのは2件です。項目の中身より、こちらのほうが決まっていないまま貼りはじめることになります。
先に決めておくと迷わなくなるのは、実は項目そのものではありません。この表がいつ終わるかのほうです。終わりから見ると、載せる項目のほうも自然に絞れます。まず、その項目の選び方から。
がんばり表の項目は、終わりのある課題から選ぶ
項目にしやすいのは、できるようになったら、それでおしまいになることです。なわとびの二重跳び、九九の七の段、朝の支度をひとりで済ませること。いつか終わるものを選んでおくと、表を畳むきっかけが最初から表の中に入っています。
これは思いつきではなく、この表がもともとそう使われている道具だからです。検索窓に「がんばり表」と打つと出てくる言葉を集めると、42語ありました。そのうち10語が、なわとび、トイレトレーニング、九九、計算カード、運動会、夏休み、ピアノといった、一つの課題や行事の名前と組みになっています。残りは台紙やイラスト、対象の年齢など、表そのものを手に入れる側の言葉でした。
つまり多くの家庭は、暮らし全体を管理するためではなく、いま越えたい山がひとつあるときにこの表を持ち出しています。二重跳びは跳べたら終わり、トイレトレーニングは外れたら終わり、運動会には日付があります。
逆に、終わりを書きにくい項目もあります。「やさしくする」「がんばる」のような、どこまでできたら達成なのかを大人の側も答えられないものです。同じことを続けたいなら、「言われる前に歯をみがく」のように、その場で丸がつくかどうかを子どもが自分で判断できる形に置きかえておくと、あとの判定でもめずに済みます。
1枚に載せるのは、いま毎日言っていることだけ
1枚の表に載せる項目は、少ないほうが動きます。はじめは1つ、増やしても2つまで。一度にいくつも約束しないほうが、最初の数日が回ります。最初の1つは、シールが手に入りやすいものにしておくと、早いうちに1マス目が埋まります。
選ぶときの目安になるのは、いま実際に毎日声をかけていることです。声をかけずに済んでいることは、表に載せても丸がつくだけで何も変わりません。逆に、月に何度かしか出てこない場面も、シールが貼れる日が少なすぎて表が埋まりません。
そのうえで、書き出した候補が5つも6つも残ることがあります。そのときは全部を1枚に載せずに、残りを別の紙に取っておくという進め方もあります。いま載せなかった項目は消えたわけではなく、次の1枚の候補になります。
貼る前に、この表がいつ終わるかを決めておく
終わりの決めかたは、大きく3つに分かれます。枚数で終わるか、できるようになったら終わるか、日付で終わるか。どれを選んでも構いませんが、貼る前にひとつ選んで、子どもと声に出して確認しておきます。
枚数で終わるは、いちばん扱いやすい形です。マスが埋まったらそこで1枚が終わり、というだけなので、子どもにも残りが見えます。配布されている台紙には、毎日貼るなら30回ぶん、数日に1回なら10回から20回ぶん、といった使い分けを勧めているものがあります。毎日貼れる項目なら1か月ほど、数日に1回の項目でも1、2か月で1枚が終わる計算です。
できるようになったら終わるは、なわとびや九九のように到達点がはっきりしている課題に向いています。この場合、マスが余っていても終わりです。先に「跳べるようになったら、この表は卒業」と伝えておくと、途中で埋まらなくなっても宙に浮きません。
日付で終わるは、運動会や夏休みのように、もともと期限があるものに使います。ここで気をつけたいのは、「習慣になるまで」を日数で決めないことです。身につくまでの日数は人によってまるで違うので、日数を終わりの条件にすると当てが外れます。
表が終わったら、シールを減らしながら次に移る
1枚が終わったら、次の表は少し間隔を空けた形にしても構いません。毎回貼っていたものを2回に1回にし、次に3回に1回にする。あるいは、交換に必要な枚数を3枚から5枚、10枚と上げていく。急にゼロにするのではなく、間隔のほうをゆるやかに空けていくやり方です。変えるのは渡すもの自体ではなく、貼る間隔のほうです。
そのうえで、越えたい山が新しく出てくれば、また新しい1枚を作ることになります。二重跳びの次は九九、九九の次は朝の支度、という具合です。表は終わっても、認めるやりとりのほうは続きます。
紙の表でいちばん手がかかるのは、この作り直しのところです。項目を入れ替えるたびに台紙を刷り直し、シールを買い足し、どこまで進んだかを書き写すことになります。ゴホウビーストは、この作り直しの部分をアプリに寄せた形です。項目ごとのコインの数を先に決めておくと、終わったときに親が押すのは「できたね」だけで済み、項目の入れ替えは一覧から選び直すだけになります。たまったコインで子どもがビーストを引くので、ひとつの課題が終わっても、それまでに集めたビーストはそのまま残ります。次の課題に移るときに、ゼロからやり直しにはなりません。
1日抜けたときにどうするかも、先に決めておく
貼り忘れる日は、たいてい出てきます。そこで表を作り直すのか、空欄のまま進むのかを決めていないと、空白が2つ3つ並んだあたりで、その表ごと止まりがちです。
日数の感覚として押さえておきたいのは、身につくまでにかかる時間の幅がとても広いことです。ある行動が意識しなくてもできるようになるまでの日数を12週間かけて追った研究があります(Lallyら、2010年)。96人が参加し、分析に足りるデータがそろった82人のうち、想定どおりの伸びかたを示したのは39人でした。その39人の中央値は66日で、計算のうえでは18日で身についた人も、254日かかる人もいます。
この研究で調べたのは大人の食事や運動の習慣なので、子どもの宿題やお手伝いにそのまま当てはめることはできません。それでも、同じことをしていても身につくまでの日数は人によってまるで違うという点は、そのまま参考になります。
同じ研究で、1日抜かしても、その後の身につきかたはほとんど変わらなかったことも報告されています。抜けた日があっても、次の日から続ければ元に戻っていました。
ですので、抜けた日があっても、次の日から戻せることになります。空欄のまま次の日に進む家庭もあれば、その日のうちに気づいたぶんはまとめて貼る家庭もあります。どちらでも構わないので、どちらにするかだけを先に伝えておくと、抜けた日にその場で決めずに済みます。
貼る前に決めておくのは、この3つです。1枚に載せる項目、この表がいつ終わるか、抜けた日をどうするか。ここまで決まっていれば、あとは印刷した紙に書き込むだけで始められます。
この記事のまとめ
がんばり表の項目は何にすればいいですか。
いま実際に毎日声をかけていることの中から、できるようになったら終わりになるものを選びます。なわとびの二重跳び、九九の段、朝の支度をひとりで済ませることなどです。「がんばる」「やさしくする」のように、どこまでできたら達成かを大人が答えられない項目は、丸がつくかどうかを子どもが自分で判断できる形に置きかえておくと、あとでもめません。
がんばり表はいつまで続けるものですか。
1枚ごとに終わりを決めておく使いかたが向いています。マスが埋まったら終わり、できるようになったら終わり、運動会や夏休みのように日付が来たら終わり、の3つのどれかです。新しく越えたい課題が出てきたら、次の1枚を作ります。次の1枚に移るまでのあいだは、貼るのを2回に1回、3回に1回と間引いていきます。
シールを貼り忘れた日はどうすればいいですか。
空欄のまま進んでも、気づいたぶんをまとめて貼っても構いません。大人を対象にした2010年の研究(Lallyら)では、1日抜かしてもその後の身につきかたはほとんど変わらず、次の日から続ければ元に戻っていました。大切なのは、抜けた日をどう扱うかを貼る前に決めておくことで、その場で迷わずに済みます。