ゴホウビースト

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子供のご褒美のタイミング。渡すのは終わった直後がいい

/ ビーズニーズ株式会社

宿題が終わってノートを閉じたところで、シールを1枚貼るか、それとも週末にまとめて何か渡すか。ご褒美を用意すること自体は決めたのに、渡す段になると毎回そこで止まります。すぐ渡すとその場しのぎになりそうで、ためると子どもが忘れてしまいそうで、どちらにも決め手がありません。

先に答えを書くと、渡すのは終わった直後です。ただ、宿題のたびに何かを買うわけにはいきませんから、実際には「その場で渡すもの」と「たまってから渡すもの」を分けることになります。分けかたと、ご褒美を先に約束していいのか、いつまで続けるのかまで、順に見ていきます。

子供のご褒美のタイミングは、終わった直後がいい

迷ったときは、終わった直後を選んでおくと外れません。子どもにとって、あとでもらえるものの価値は、大人が思うより速く下がるからです。週末まで待たせる形は、渡す側の予定には合っていても、受け取る側の感じ方には合っていません。

どれくらい違うのかを測った実験があります。2021年に、9〜10歳の子ども58人と大人を対象に、「いま少しもらう」か「何日か待って多くもらう」かを何度も選ばせたものです。待つ長さは2日から180日まで用意されていました。すぐもらうほうを選んだ割合は、子どもで53%、大人で25%でした。

「いま少しもらう」を選んだ割合。9〜10歳は53%、大人は25%

同じ「あとでね」でも、待つ側を選ぶかどうかが大人と子どもでこれだけ違う、ということです。この差は、親のほうが「週末まで待てるでしょう」と考えてしまう理由でもあります。持ち越したご褒美は、渡す側の段取りとしては楽ですが、子どもの側では価値が下がった状態で届きます。その日やったことに何かを返すなら、その日のうちに返しておくほうが、あとで思い出さずに済みます。

テストが返ってきたときはどうか、という迷いもあります。ただ、テストの日は自分では決められません。渡すきっかけを点数に置くと、渡す機会が何回あるかまで運まかせになります。毎日の宿題やお手伝いのように、終わったことがその場で分かるものに紐づけておくほうが、渡す側も迷いません。

なお、この実験で選ばせたのはお金で、宿題のご褒美そのものを測ったわけではありません。それでも、待つほうを選びにくいのは子どものほうだという向きは、家の中の「あとでね」にも重なります。

毎回は渡せないときは、その場で「しるし」だけ渡す

直後がいいと分かっても、宿題のたびにお菓子やおもちゃを出すわけにはいきません。そこで、その場で渡すのは「しるし」だけにして、中身のあるご褒美はたまってから交換する形にします。シール、スタンプ、カレンダーの丸。どれも渡すのは終わった直後で、交換は後日です。

この形は、行動を変える研究で長く使われてきたもので、決めることが3つあります。何をしたらしるしが1つもらえるのか、いつ交換できるのか、何と交換するのか。この3つを先に決めておくと、あとは終わったときにしるしを渡すだけになります。学校の教室でも同じ形が使われていて、2022年に小学校での例を24件集めたレビューが出ています。決めるのは、そこでもこの3つです。

終わった直後にしるしを1つ渡し、たまったら先に決めておいたものと交換する流れ

3つのうち、後回しになりがちなのが「何と交換するのか」です。ここが決まっていないと、しるしはたまるのに交換が起きず、子どもの側では何も起きていないのと同じになります。半分ほどたまったあたりで決めようとすると、その場の勢いで中身がふくらむこともあります。始める前に決めておくほうが、あとで戻さずに済みます。

シールやスタンプは、この形をいちばん手軽に始められます。ただ、貼り終わった台紙はそこで終わりになります。ゴホウビーストは、同じように終わった直後におうちの方が「できたね」を押すとコインがたまり、たまったコインで子どもがビーストを引ける形にしてあります。コインは現金では買えず、増えるのはおうちの方が承認したときだけです。

「先に約束すると逆効果」は、好きなことに限った話

宿題の前に「終わったらシール1枚ね」と伝えてしまってよいのか。ここは、先に約束するほうが向いています。ご褒美を予告するとかえってやる気が下がる、という話が広く知られていますが、あれはもともと本人が好きでやっている活動を調べた結果だからです。

この話のもとになっているのは、報酬と意欲を調べた実験をまとめた分析です。ただ、そこで集められたのは、もともと本人が進んでやっていた活動を扱った実験でした。もともと退屈だと分かっている作業を扱ったものは、集計から外されています。つまり「予告するとやる気が下がる」は、放っておいても本人がやることについての結果です。

2001年に、外されていたほうも含めて集計し直した分析があります。もともと乗り気ではない作業を扱った実験は12件あり、そのすべてに「先に約束した物のご褒美」の条件が入っていました。結果は、ご褒美が終わったあとに参加者が自分からその作業に戻った量で見て、プラス0.26。これは実験どうしを同じものさしに乗せるための数字で、0より上なら増えた、下なら減ったという向きを表します。ばらつきを見てもマイナス側には届いていませんでした。いっぽう、同じ「先に約束した物のご褒美」でも、もともと好きな活動を扱ったほうではマイナス0.18で、小さく下がっています。

宿題やお手伝いは、たいてい「もともと好きでやっていること」のほうには入りません。放っておいても自分から始めるなら、そもそもご褒美の渡しかたで迷っていないはずです。先に「これをやったらこれ」と決めておく形は、迷っている場面ではむしろ向いています。

同じ分析では、ほめ言葉も別に集計されていて、子どもだけに絞った10件・320人でプラス0.22でした。しるしを渡すときに一言そえるだけなので、手間は増えません。

やめたあとも、自分から取り組む時間は減っていない

ご褒美で始めたことが、やめた瞬間に元に戻るとは限りません。もともと乗り気ではなかったことについては、ご褒美をやめたあとに自分から手が伸びた量は、むしろ増えていました。始める前からやめどきを決めておかなくても、あとから減らせます。

さきほどの数字は、先に約束した物のご褒美に絞ったものでした。予告のあるなしをまとめて、もともと乗り気ではない作業ぜんぶで見ると、ご褒美をやめたあとに自分から戻った量はプラス0.28。絞っても絞らなくても向きは同じで、ご褒美を経験しなかった参加者より長かったことになります。

実際にやめるときも、宣言してから急に止める必要はありません。しるしを渡す間隔を空けていく、交換の回数を減らす、といった減らしかたもできます。学年が上がるときや年が変わるときなど、子どもにも分かる区切りに合わせると、理由を説明しやすくなります。

ここまでをまとめると、決めるのは3つです。しるしは終わった直後に渡すこと、たまったら何と交換するかを始める前に決めておくこと、そして先に約束することをためらわなくていいこと。次に宿題が終わるときまでに、その場で渡せるものを何か1つ用意しておくところから始められます。

この記事のまとめ

子供にご褒美を渡すタイミングは、いつがいいですか

終わった直後です。2021年に9〜10歳の子ども58人と大人を比べた実験では、あとで多くもらうより「いま少しもらう」を選んだ割合が、子どもで53%、大人で25%でした。待つことの重さが大人と子どもで違うので、週末までためる形は渡す側の都合に寄っています。

ご褒美の内容を先に約束してもいいですか

宿題やお手伝いのように、もともと進んでやるわけではないことなら、先に約束するほうが向いています。「予告するとやる気が下がる」という結果は、もともと本人が好きでやっている活動を調べたものです。2001年に、乗り気ではない作業を扱った12件をまとめ直した分析では、先に約束した物のご褒美でも、やめたあとに自分から取り組んだ量はむしろ少し増えていました。

毎回ご褒美を用意できないときはどうすればいいですか

その場ではシールやスタンプなどの「しるし」だけを渡し、たまったら決めておいたものと交換する形にすると、直後に渡すことと、毎回は用意できないことの両方が収まります。何をしたら1つもらえるか、いつ交換できるか、何と交換するかの3つを、始める前に決めておきます。