ゴホウビースト

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兄弟でお手伝い表を使うとき、ごほうびの数はそろえるか

/ ビーズニーズ株式会社

お手伝いに2ポイント、宿題に3ポイント。表を作って上の子のぶんが回りはじめたころ、下の子が「わたしもやる」と言い出します。同じ表をもう一枚、下の子のぶんに用意すると、今度は上の子から「なんで同じなの」が出ます。

かといって下の子のぶんを減らせば、今度は下の子が黙っていません。数をどちらに寄せても、決めたそばから言われます。

そろえるのは、渡す数ではなく決め方です。何をしたらいくつ、を先に決めて、その表をきょうだいで同じものにします。渡る数はそろいませんが、そろっていなくてよい差になります。

きょうだいで回している家庭は少数派ではありません。2024年の国民生活基礎調査で、18歳未満の子どもがいる世帯を子どもの人数で分けると、2人が39.2%、3人以上が13.1%。合わせて52.3%で、半数を超えます。

下の子のぶんを減らすと、その差だけが目に残る

数のほうを動かして釣り合いを取ろうとすると、少なくなった側は、そこにできた差を見ます。7〜8歳ごろになると、自分と相手の取り分がそろっているかどうかを強く見るようになるからです。

3歳から8歳までの229人にお菓子を分けてもらった実験があります(Fehr, Bernhard, Rockenbach 2008年)。3〜4歳では自分の取り分が最大になる分け方が選ばれ、5〜6歳でもまだそれが優勢でした。7〜8歳になると半数近くが相手と分け合い、そのとき選ばれたのは、相手に多く渡す分け方でも、二人の合計が増える分け方でもなく、自分と相手が同じ数になる分け方です。

この実験で分け合う相手は、名前の分からない他の子どもです。きょうだいのあいだの配分を調べたものではありません。それでも、子どもが数を数えて「ずるい」と言い出す時期とは重なります。ここで効かないのは、言葉を足すほうの手当てです。「上の子のほうがたくさんやっているから」と説明しても、下の子の目に映っているのは自分と上の子の数の差のままなので、説明を重ねるほど話が長くなります。

同じ数にそろえると、今度は多く働いたほうが言う

では二人とも同じ数にすればいいかというと、そちらも収まりません。自分のほうが多く働いた場面では、子どもはそのぶんを自分の取り分に求めるからです。

人形の相手と釣りゲームでコインを集め、そのあと6枚のシールを分けてもらう実験があります(Kanngiesser, Warneken 2012年)。3歳と5歳を18人ずつ、合わせて36人。自分が4枚・相手が2枚集めた条件では、半分より多くを自分に残しました。逆に相手のほうが4枚集めた条件では、分け方は半分のあたりにとどまり、相手に多く渡すほうへは動きませんでした。

同じ研究で、別の36人に、二人が2枚ずつ集めた場面と4枚ずつ集めた場面を試したところ、分け方に差は出ませんでした。子どもが見ているのは自分の働いた量そのものではなく、相手とくらべた働きの量だ、というのがこの研究の結論です。

上の子の「なんで同じなの」は働きの差を見ての言い分で、下の子の「ずるい」は数の差を見ての言い分です。その日の数をどう動かしても、二つを同時に満たす数はありません。配分をその場で子どもに決めさせても、決める側に有利なほうへ寄ります。差の理由になるものは、渡す前に大人が決めておくほうが、あとがもめません。

そろえるのは渡す数ではなく、何をしたらいくつ、の決め方

先に決めるのは、項目とその数です。「洗濯物をたたむは2」「宿題は3」のように、やることごとに数を決めて、その表をきょうだいで同じものにします。手にする数はそろいませんが、そこにたどり着くまでの決め方はそろいます。

数をそろえると「なんで同じなの」が残り、決め方をそろえると数はそろわなくてよくなる、という対比

下の子がまだできない項目も、表から消さずに残す形があります。消してしまうと、二人の表が別のものになり、また「なんでお兄ちゃんだけ」が始まります。残しておけば、できるようになった日にその子が自分で取りにいける場所になります。

片方だけに項目を足すときは、もう片方にも足しておきます。上の子にだけ「風呂そうじ」を足して、下の子の側が増えないままだと、増えたのは仕事だけになります。重さをそろえるのは手間そのものではなく、その子にとっての大変さのほうです。年中の子に風呂そうじと釣り合うものを探すなら、上の子が同じ年ごろにやっていたことが目安になります。

数のほうは、同じ項目なら同じにしておくのが分かりやすい形です。同じ「宿題」に上の子だけ多く付けると、決め方が二人でちがうことになり、差の理由が説明できなくなります。学年で重さが変わるなら、数ではなく項目のほうを変えます。

下の子から「お兄ちゃんばっかり」が出たときも、答える場所は同じです。二枚の表を並べて、同じ項目に同じ数が付いていることを一緒にたどると、ちがうのはこなした項目の数だけだと目で分かります。下の子が取れる項目を一つ増やせば、その日から自分で追いかけられます。

たまった数は合算せず、きょうだい一人ずつで数える

表は同じでも、たまった数は一人ずつ分けて数えます。二人ぶんを合わせて一つの目標にすると、多く働いたほうのぶんが少ないほうと一緒くたになって、決め方をそろえた意味が薄くなるからです。

釣りゲームの実験で子どもが見ていたのは、相手とくらべた自分の働きでした。合算した山は、その比較の相手を消してしまいます。上の子からすれば、自分が多く働いたぶんは山に溶けて、出てくるごほうびは二人で一つです。ここで出る不満は、数の差ではなく、働いたぶんが自分に戻ってこないことへの不満になります。

紙の表で二人ぶんを回すと、同じ項目を二枚に書き写して、たまった数もそれぞれ数え直すことになります。ゴホウビーストは、がんばりごとにコインの数を先に決めて、同じ項目をきょうだい全員に置ける形にしてあります。コインは子どもごとに分かれているので、上の子が先に増えても下の子のぶんは減りません。増えるのはおうちの方が「できたね」を押したときだけで、コインを現金で買うことはできません。

上の子の「なんで同じなの」に、その場で答えを作らなくてよくなると、やりとりはずいぶん短くなります。答えるのは決め方のほうで、それは今日のうちに一度決めておけば済みます。

この記事のまとめ

きょうだいでごほうびの数に差がついてもいいですか

子どもが引っかかるのは差そのものではなく、理由の見えない差です。3歳と5歳の36人を調べた実験(2012年)では、自分が多く集めた場面で自分の取り分を多くし、相手が多く集めた場面では相手に多く渡すほうへは動きませんでした。子どもに任せると、決める側に有利なほうへ寄ります。だから、何をしたらいくつ、という決め方は渡す前にきょうだいで同じにします。手にする数がちがっても理由を説明できます。

下の子がまだ同じお手伝いをできないときはどうしますか

その項目を表から消さずに残しておく形があります。消すと二人の表が別のものになり、差の理由が説明できなくなります。残しておけば、できるようになった日に本人が取りにいけます。片方だけに項目を足すときは、もう片方にも足しておくと、増えたのが仕事だけにならずに済みます。

きょうだいでポイントを合わせて一つの目標にしてもいいですか

合算せずに一人ずつ数えるほうが、働いたぶんと手にする数のつながりが残ります。3歳と5歳を対象にした2012年の実験では、子どもが見ていたのは相手とくらべた自分の働きの量でした。合算するとその比較の相手が消え、多く働いたぶんが自分に戻ってきません。二人で一つの目標を立てたいときは、ふだんの表とは別に置く形もあります。