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テストのご褒美は何に出す?点数より、テスト前にやること

/ ビーズニーズ株式会社

テストが返ってきて、100点だった。すごいねと言ったあとで、何かあげるかどうかを少し迷う。前に一度あげているなら、今回だけ何も無しというわけにもいきません。

迷うのは金額だけではありません。点数でご褒美を出すのはよくない、という話をどこかで聞いていて、このまま続けていいのかがはっきりしない。かといって、急にやめる理由も見当たらない。

決めやすくなるのは、あげるかどうかではなく、何に対してあげるかを先に決めたときです。点数そのものを対象から外して、テスト前にやることを1つか2つ選ぶ。この順番にすると、いくらにするかも、100点の日にどうするかも、あとから決まります。

テストのご褒美は、よくないと決まったわけではない

あげること自体をやめる必要はありません。ご褒美を渡すと勉強への意欲が下がる、という話は広く言われていますが、学校で実際に試した大規模な実験では、その低下は確かめられていません。

米国の4都市(シカゴ、ダラス、ニューヨーク市、ワシントンDC)の公立学校261校で、2007年からの2年間、およそ38,000人を対象に、お金を払うと何が起きるかを調べた実験があります(Fryer、2010年)。この実験では、勉強そのものへの意欲を測る質問紙も使われています。結果は、ご褒美によって意欲が下がったとは言えない、というものでした。ただし数字の幅が大きく、上がったとも下がったとも結論できる精度ではありません。

意欲が下がるかどうかは、いまも研究者のあいだで意見が分かれています。分かっているのは、急いでやめる理由がこの実験からは出てこない、というところまでです。

ただ、同じ実験からもう1つ、はっきりした結果が出ています。効くかどうかの分かれ目は、あげるかどうかではなく、何に対してあげるかのほうにありました。

点数に出すと、次に何をすればいいかが決まらない

テストの点数や教科の成績に払ったグループでは学力テストの結果が動かず、本を読む・授業に出る・宿題を出すといった行動に払ったグループでは読解の成績が上がりました。払う対象は4つです。本を1冊読む、出席や宿題を出す、テストの点数、教科の成績。前の2つが行動で、あとの2つが結果になります。成績が上がったのは、行動のほうに払った2つだけでした。

このあとに出てくる数字は「標準偏差」という単位で、成績がどれだけ動いたかを表します。0に近いほど、動いていません。

米国4都市の実験で、読解の成績が動いた幅。本を1冊読むが+0.18〜0.25標準偏差、出席・宿題を出すが+0.15〜0.18、テストの点数に払うと+0.02〜0.03、教科の成績に払うと読解は変わらず

いちばん大きく動いたのはダラスで、2年生が本を1冊読んで確認のクイズに合格するごとに2ドルを受け取る形でした。読解の成績は0.18から0.25ぶん上がっています。同じく行動に払ったワシントンDCでも、出席や宿題の提出などに払って読解が同じ向きに動きました(こちらは、はっきりしたことを言うには数が足りません)。いっぽう、中間テストの点数に払ったニューヨーク市では、7年生の数学が−0.03から−0.02、読解が0.02から0.03。ほとんど動いていません。教科の成績に払ったシカゴでは、成績表の評定は少し上がったものの、学力テストは動きませんでした。

この差の説明として有力とされているのは、点数と行動のあいだの距離です。ご褒美が決まれば、やる気は出ます。ただ、点数は当日の問題との相性でも採点の幅でも動くもので、何をどれだけやれば何点になるかが、その場で見える形にはなっていません。本を1冊読む、宿題を出す、授業に出るのほうは、その道筋が分からなくてもそのまま実行できます。

もっとも、これは米国の、成績の低い都市部の公立学校で、現金を、日本でいう小2から中3にあたる学年に払った実験です。場所も、渡す人も、渡すものも、家庭の話とは違います。そのまま当てはめるのではなく、対象を選ぶときの材料として使うくらいが、ちょうどいい距離です。

では、テスト前の何を対象にするか。

ご褒美の対象は、テスト前にやることから選ぶ

選ぶ基準は1つです。終わったかどうかを、その日のうちに○か×で書けること。漢字の練習を10問、音読を1回、返ってきたテストの間違いを直す。どれも点数を見なくても、やったかどうかがその場で決まります。

外しておきたいのは、「集中して取り組む」「しっかり見直す」のように、できたかどうかを親が判定することになるものです。判定するたびに基準を作り直すことになり、その基準は毎回すこしずつ動きます。

数は2つまでにしておくと、テスト前の数日でそろわない日が出にくくなります。そろわない日が出たときは、その日に×を付けて翌日に持ち越さない、と決めておく方法があります。埋め合わせの回を足すと回数が変わるので、あとの金額の計算が崩れます。

テストのご褒美、何に出すかを決める1枚

対象にすることいつやるテスト前に何回1回ぶんの金額
  • 対象にすることを2つまでにした
  • 終わったかどうかを○か×で書ける形にした
  • 点数そのものは対象にしないと決めた
  • ひと月で合計何回になるかを出した

金額の欄は、回数が出てから埋まります。いまは左の3つを書くところまでです。書けたら、子どもにも見せておきます。何をすると何がもらえるかが先に分かっていれば、当日になって「これはやったうちに入るのか」を話し合わずに済みます。

切り替えは次のテストからにして、今回返ってきた1枚はこれまでどおりにする。そう決めておくと、説明が一度で済みます。「次からは、テスト前にやることに出すね」と伝えるだけです。

100点だったときは、何をほめるか

点数をご褒美の対象から外すことと、100点を喜ばないことは別です。答案を見て「すごいね」と言うのは、これまでどおりです。分けているのは、その場で何かを渡すかどうかだけです。

ほめる言葉を選ぶときは、答案のどこを見て言うかを先に決めておくと迷いません。全部合っていたという結果ではなく、そこに至るまでにやったことのほうです。前は漢字で落としていたのが今回は無い、計算の途中式が最後まで書いてある、最後の1問まで空欄がない。答案を一緒に見れば、どれかは見つかります。

「次も頑張って」は、次のテストの点数に目を戻す言葉でもあります。そこまで言わずに、今回やったことを1つ挙げて終える形もあります。

ほめる言葉まで決まれば、残るのは金額です。対象と回数はもう書いてあるので、そこから割り算で出せます。

金額は、月に何回になるかから決める

1回あたりをいくらにするかから考えると、決まりません。先に数えるのは回数のほうです。漢字10問を5回と音読を5回なら、テスト1回で10回ぶん。テストが月に1回なら、ひと月で10回です。あとは1か月に出していける上限を決めて、10で割ります。テストが月に2回ある時期なら、20で割ります。

点数を対象にしていたあいだは、この計算ができませんでした。100点が何枚返ってくるかは、渡す側にもやってみるまで分かりません。ある月は1枚で、ある月は5枚。金額が読めないので、途中で「今回から半額にします」と言い出すことになります。行動を対象にすれば、回数はこちらが決めた数のままです。

金額に、あてになる相場はありません。おこづかいの全国調査(金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査」)でも、最新は2015年度の数字です。外の相場ではなく、家で月にいくらまでなら出せるかから決めたほうが、あとで変えずに済みます。

テストのご褒美で止まるのは、たいてい「あげるかどうか」で考えているときです。何に対して出すかを2行書いてしまえば、金額も、100点の日にかける言葉も、そこから順番に決まります。次のテストが返ってくる前に、その2行だけ決めておけば間に合います。

この記事のまとめ

テストの点数にご褒美をあげるのはよくないのですか。

あげること自体をやめる必要はありません。米国4都市261校・約38,000人を対象にした2007〜09年度の実験(Fryer、2010年)では、ご褒美で勉強への意欲が下がったとは言えないという結果でした。ただし同じ実験で、点数や成績に払っても学力テストは動かず、本を読む・宿題を出すといった行動に払ったほうが読解の成績は上がっています。

ご褒美の対象は何にすればいいですか。

テスト前にやることのうち、終わったかどうかをその日に○か×で書けるものを選びます。漢字の練習を10問、音読を1回、返ってきたテストの間違い直しなどです。「集中して取り組む」のように親が判定するものは、判定のたびに基準を作り直すことになるので外します。数は2つまでに絞る方法があります。

金額はいくらにすればいいですか。

1回あたりから決めずに、テスト1回で何回ぶんになるかを先に数えます。それがひと月で何回になるかを出し、1か月に出していける上限をその回数で割ると、1回ぶんが出ます。点数を対象にしていると、100点が何枚返ってくるか分からないので上限を決められません。行動を対象にすれば、回数は決めた数のままです。