子供のポイント制のデメリット。避けられる2つと、避けられない1つ
/ ビーズニーズ株式会社
お手伝いに5ポイント、宿題に3ポイント。表を書きかけたところで、ポイント制はやめたほうがいいという話を見つけて、手が止まることがあります。点が付かないと、いままで自分から進んでやっていたことまでやらなくなる。渡すごほうびがだんだん高くなっていく。点を付けなかったことは後回しになって、お手伝いも家族の仕事だと思わなくなる。どれもありそうな話に読めます。
この3つは、避けられるものと避けられないものに分かれます。避けられないのは最後の1つ、点が付く行動と付かない行動に分かれてしまうことです。前の2つは、どこに点を付けるかと、何と交換するかの決めかたで避けられます。
「点が付かないとやらなくなる」という心配は、二とおりの意味に取れます。点を付けなかった他のことが後回しになる、という意味なら避けられません。もともと自分から進んでやっていたことをやらなくなる、という意味なら、点を付ける先を選べば避けられます。順に見ていきます。
子供のポイント制で避けられないのは、点が付かないことが後回しになること
ポイント制を入れると、子どもは点が付く行動から手をつけるようになります。裏を返せば、点を付けなかったことは後回しになります。これは点の数を上げ下げしても変わりません。点が付いているかどうかが、そのまま「どれからやるか」の目印になるからです。
点が付くほうへ寄っていくと、お手伝いは「毎日のうちのひとつ」ではなく「お金が要るときに使う手段」の側へ移ります。ポイント制の家庭だけを調べた数字ではありませんが、お手伝いがその位置にある子は少なくありません。金融広報中央委員会が2015年度に、全国の小学生(低学年4,172人、中学年5,200人、高学年6,957人)に調査を行っています。おこづかいをもらっていて、足りなくなることがあると答えた子に、そういうときどうすることが多いかをたずねた設問があります。「お手伝いをして、おこづかいをもらう」を選んだのは、低学年で24.2%、中学年で22.1%、高学年で17.6%でした。
おこづかいが足りなくなる子の2割前後にとって、お手伝いは、お金が要るときに手を伸ばす先になっています。ポイント制を入れる前から、お手伝いがそういう位置に置かれている家庭があるということです。ポイント制でいちばん厄介なのは、やる気が消えることではなく、点を付けたものと付けなかったものが並び替わってしまうことのほうです。
点の数では変えられないので、どこに点を付けるかで受け止めることになります。毎日やること、たとえば宿題、食器を下げる、洗濯物をたたむといったものに点を寄せておくと、先に手がつく側へ日課が入ります。逆に、たまにしか出てこない大きな仕事だけを高い点にすると、点をためたいときにその仕事を持ち出すことになるので、点が付く機会そのものが「ほしいものがあるとき」へ寄っていきます。
点を付ける先を決めるとき、外しておく手があるものもあります。
やる気が下がるのは、もともと自分からやっていたことに点を付けたとき
点を付けずに置いておく手があるのは、言わなくても子どもが自分から始めることです。ごほうびを予告するとやる気が下がるという話がありますが、あれはもともと本人が面白いと感じている活動を調べた結果で、そういう活動に点を付けたときに当てはまります。
ごほうびと意欲の関係を調べた実験をまとめた分析があります(Deci・Koestner・Ryan、1999年)。128件の実験を集めたものです。以下の数字は実験どうしを同じものさしに乗せるためのもので、0より下なら減った、上なら増えたという向きを表します。物のごほうびを予告して渡すと、そのあとの自由時間に参加者が自分からその活動へ戻る量は、やっているだけで渡す形でマイナス0.40、終わったら渡す形でマイナス0.36、出来ばえで渡す形でマイナス0.28でした。
この分析が集めたのは、参加者がその作業をつまらないとは感じていない実験だけです。実験者が退屈な作業だと決めて使ったものは、主な集計から外されています。ただ、その退屈な作業のほうも別に集計されていて、ひとつの実験の中で面白い作業と退屈な作業の両方を置いたものが13件ありました。そのうち自由時間で測った11件を見ると、面白い作業のほうはマイナス0.68でした。退屈な作業のほうはプラス0.18ですが、こちらは幅のある数字で、増えたとまでは言えません。下がってはいない、というところまでです。
下がったのは面白い作業のほうだけ、ということです。分析した本人たちも、物のごほうびによる低下は退屈な作業には及ばない、と書いています。
宿題や皿あらいは、たいてい退屈な作業のほうに入ります。放っておいても自分から始めるなら、そもそもポイント制を作ろうとしていないはずです。点を付けたせいでやる気が下がる、という心配は、もともと自分からはやっていなかったことには当てはまりません。いっぽう、子どもが自分から開いている図鑑や、言われなくても続けている絵は、点を付けない側に置いておく手があります。
何に点を付けるかが決まったら、次はたまった点を何と交換するかです。
交換をお金にすると、あとから金額の相談が始まる
点をお金と交換にすると、配点のほかに決めることが2つ増えます。1ポイントがいくらか、そして定期のおこづかいをどうするかです。小学生のおこづかいは、学年が上の子ほど月に1回の形が多く、出来高の形だけで通している家庭ばかりではないからです。
同じ2015年度の調査では、おこづかいをもらっている子にもらいかたをたずねています。「ときどき」と答えたのは低学年で57.3%、中学年で47.8%、高学年で38.3%です。「月に1回」は低学年で13.4%、中学年で32.1%、高学年で45.0%でした。
もらいかたとは別に、お手伝いをしたときにおこづかいをもらうことがあるか、もたずねています。もらっている子のうち、低学年で51.0%、中学年で47.9%、高学年で40.7%でした。これは学年のちがう別々の子どもを同じ時期に並べた数字で、ひとつの家庭で形が移っていく過程を記録したものではありません。それでも、高学年のほうが月に1回の形が多く、お手伝いに対して渡す形は少ない、という並びにはなっています。
お金以外の交換先をひとつ持っておくと、おこづかいの話とポイントの話を分けておけます。シールの台紙、日曜の献立を決める役、いっしょに出かける時間。値段が付いていないものなら、あとから金額を上げる相談になりません。渡すものがだんだん高くなっていく、という心配が消えるのはここです。
ゴホウビーストも、そこを分ける形で作ってあります。おうちの方が「できたね」を押すとコインがたまり、たまったコインで子どもがビーストを引きます。コインは現金では買えず、増えるのはおうちの方が承認したときだけなので、1ポイントが何円かという話が出てきません。
表を作りかけて止まっているなら、配点より先に埋めておくものが2つあります。点を付ける行動と、たまったあとの交換先です。ここが決まっていれば、ポイントの数字はあとからいくらでも動かせます。決めかたの手順はお手伝いポイント制の作り方にまとめてあります。
この記事のまとめ
子供のポイント制にデメリットはありますか
点が付く行動と、付かない行動に分かれてしまうことは避けられません。金融広報中央委員会が2015年度に行った調査では、おこづかいをもらっていて足りなくなることがある小学生のうち、「お手伝いをして、おこづかいをもらう」と答えたのが低学年で24.2%、高学年で17.6%でした。お手伝いが、お金が要るときの手段として動いている形です。
ポイント制にすると、子どものやる気は下がりますか
もともと自分から進んでやっていることに点を付けると下がります。128件の実験をまとめた1999年の分析では、面白いと感じている作業に物のごほうびを予告して渡すと、そのあと自由時間に自分から戻る量が下がりました。同じ分析で退屈な作業も試した実験のうち、自由時間で測った11件では下がっておらず、宿題や皿あらいはそちらに入ります。
ポイントをお金と交換にしてもいいですか
できますが、1ポイントいくらかに加えて、定期のおこづかいをどうするかも決めることになります。2015年度の調査では、おこづかいをもらっている小学生のもらいかたは、低学年で「ときどき」が57.3%と最も多く、高学年では「月に1回」が45.0%で最も多くなっていました。お金以外の交換先をひとつ持っておくと、おこづかいの話と分けておけます。