夏休みのお手伝い表の作り方。項目より先に、1日3つの時間を決める
/ ビーズニーズ株式会社
夏休みのお手伝い表を作ろうとして、項目のところで手が止まることがあります。食器を下げる、洗濯物をたたむ、お風呂そうじ。書こうと思えばいくらでも出てきますし、1か月以上あるのだから多いほうがいいような気もします。
止まっているのは、たぶん項目そのものではありません。いくつ書けば続くのか、そして休みが明けたらこの表をどうするのか。その2つが決まっていないと、項目のほうも決まりません。ダウンロードできるお手伝い表を6枚と、お手伝いを扱った記事を2本読んでみましたが、休みが明けたあとの扱いに触れているものはありませんでした。
先に決めるのは、項目の数ではなく、1日のどこでやるかです。そのうえで、休みの終わりに残すものを1つだけ選びます。冬休みでも春休みでも、決めることは同じです。
夏休みにお手伝いが増えるのは、時間が空いて、声がかかるから
小学6年生69人が、2014年の4月から10月まで、自分がやった家事手伝いを記録した研究があります(岡田・杉浦 2022年)。月ごとの回数は、7月が79回、夏休みのあった8月が962回、9月が134回でした。8月だけが飛び抜けていて、休みが明けると大きく落ちています。
論文はこの動きを、2つで説明しています。1つは時間です。夏休みは自由な時間と家族と過ごす時間が増えるので、手伝いに使える時間もそのぶん増える。もう1つは声のかけかたで、この学校は夏休み用に記録のシートをあらためて配っており、それも回数が増えた原因の一つに挙げられています。
回数が落ちた6月と7月には研究大会と学芸発表会の準備が、9月には運動会や修学旅行が入っていました。行事で家庭科の時間が減り、先生から手伝いの話が出る場面も少なくなっていた月です。論文が「手伝いを増やすために大切」としているのも、自由な時間があること、疲れやストレスをためていないこと、家庭科の時間が取れていること、教師からの呼びかけがあることの4つでした。授業のことは学校の側の話なので、家で用意できるのは、時間と、声をかける人です。
9月の134回は、8月の約7分の1です。ただし、平常どおりに戻った数字でもありません。4月は332回、5月は300回、10月は219回で、9月はそのどれよりも低い。時間も、手伝いの話が出る場面も、減っていた月です。
そう読むと、休みに手伝いが増えるのは、その子が急に変わったからではありません。時間がまるごと空いて、そこに手伝いの話をする人がいたからです。表を用意することは効きますが、表だけでは足りない、という順番になります。
表に書くのは、項目より先に「いつやるか」
学校のある日は、手伝いのきっかけがその日の区切りにぶら下がっています。帰ってきたら、ごはんのあと、寝る前に。休みに入るとその区切りが動くので、きっかけのほうも消えます。だから表の左の列には、項目ではなく朝・昼すぎ・夕方と書きます。起きたあと、昼ごはんのあと、夕ごはんの前。休みの日でもだいたい同じころに来る3つです。そこに1つずつ入れます。
1つずつというのは少なく見えますが、記録のほうから見ると多いくらいです。いちばん多かった8月の962回を69人で割ると、1人あたりひと月で約14回。休みの日数で割っても、1日1回には届きません。論文は、記録を出さなかった子や全部は書けなかった子がいると断っているので実際はもう少し多いはずですが、それでも10個の欄が毎日埋まる姿からは遠い数字です。
ダウンロードできる表を6枚見てみると、載っている見本はどれも、縦に項目、横に日付を並べるか、マスを回数だけ並べるかのどちらかでした。朝・昼・夕方のような時間で区切る欄があるものは、6枚の中にはありませんでした。
項目の欄が空いていると、つい埋めたくなります。時間で区切れば、埋める欄は1日3つに決まります。何を入れるかは、食卓まわりから選ぶと迷わずに済みます。朝なら食器を流しに運ぶ、昼すぎなら水筒を洗う、夕方ならはしと茶わんを並べる。小中学生の子どもがいる1,000人の母親に聞いた2015年の調査(日本生活協同組合連合会)では、子どもが日頃手伝っていることの1位は食後の食器下げ(65.1%)で、親がもっと手伝ってほしいものの1位も同じでした。先ほどの69人の記録でも、食事と調理まわりが全体の45%を占めています。学年ごとの候補はお手伝い一覧の記事にまとめてあります。
書いた日に返事が返らないと、表だけが残る
表を貼れば手伝いが始まる、とは限りません。先の研究のアンケートでは、表が配られてから手伝おうと思うようになった子は69人中8人(11.5%)でした。半分以上(56.5%)は、配られる前からやっていた子です。
では何が足りなかったのか。論文は、習慣づけられなかった理由の1つに、呼びかけと回収が週に1回だったことを挙げています。書いても、返事が返るのは週に1回。それでは記録は残っても、習慣にはなりません。
2015年の同じ調査でも、子どもが自分から手伝うようになるために大事だと思うことの1位は「お手伝いをしたらありがとうと言う」で80.4%でした。2位の「ほめる」49.4%を30ポイント以上引き離しています。
そこで表には、もう1列だけ足します。その日に見て返事をするのは誰かです。朝の欄は出かける前の人には見られないかもしれませんし、夕方の欄は帰ってから見ることになります。誰がいつ見るかまで決めておくと、書きっぱなしの日が減ります。
休みが明けたら、持ち越すのは1つでいい
休みの終わりに、やったものの中から1つだけ選んで持ち越します。朝の食器出し、昼すぎの水筒洗い、夕方の食卓の支度の3つをそのまま9月に持っていくと、最初の週で全部止まります。時間が元に戻ったところに、休み中の量が乗るからです。
選ぶときに見るのは、学校のある日にも同じ時間が空いているかどうかです。朝の欄からは選びにくくなります。登校前に動かせる時間はほとんどないので、休み中はできても、始まった週にそのまま消えます。夕方の欄からは選びやすくなります。夕ごはんの前後なら、5分か10分で終わるものが置きやすいところです。
持ち越す1つが決まったら、休みの表からは外して、ふだん目に入るところに書きうつしておく形もあります。表を1枚まるごと引きずらないほうが、その1つは続きます。
休みのあいだのお手伝い表
| はじめの日 | おわりの日 |
|---|---|
| いつ | やること | 見て返事をする人 |
|---|---|---|
| 朝 | ||
| 昼すぎ | ||
| 夕方 |
- 1つの時間に入れるのは1つだけにした
- 休みの終わりに、持ち越す1つに丸をつけた
休みのあいだに増えた回数は、そのままの形では引き継げません。引き継げるのは、学校のある日にも空いている時間に置いた1つです。その1つを、見て返事をする人が決まっていれば、9月にも残ります。
この記事のまとめ
夏休みのお手伝い表には、項目をいくつ書けばいいですか
朝・昼すぎ・夕方に1つずつ、1日3つまでが目安になります。小学6年生69人が家事手伝いを記録した研究(岡田・杉浦 2022年)では、いちばん多かった8月でも1人あたりひと月で約14回でした。1日3つは記録から見ればむしろ多いくらいで、10個並べても全部が埋まる日はほとんど来ません。
夏休みが終わったら、お手伝い表はやめたほうがいいですか
表は畳んで、やっていたものの中から1つだけ持ち越す形が続けやすくなります。同じ研究(岡田・杉浦 2022年)では、手伝いの回数は夏休みのあった8月の962回から、9月には134回まで落ちました。休みのあいだの量をそのまま引き継ぐと、学校が始まってからは時間のほうが足りなくなります。
冬休みや春休みでも同じ表でいいですか
同じ作り方で使えます。回数が増えるのは休みで時間が空くからなので、期間が短い冬休みや春休みでも、時間で区切って1つずつ入れる形は変わりません。違うのは日数だけなので、はじめの日とおわりの日を書き直します。